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    担当者がいない証券会社のお客様

    最終更新: 2019年8月4日

    大手証券会社で十数年の勤務経験【リテール/投資銀行/事業法人/IR部門】から、

    投資家と金融機関の付き合い方について、参考になればと思い記事を書いています。

    証券会社での新規開拓方法

    証券会社での新規顧客開拓にはいくつかの方法があります。


    ①ビラ配り、金持ちそうな家へ突撃訪問

    ②リストをもとに電話攻撃

    ③休眠口座へのアプローチ

    ④既存顧客からの紹介

    ⑤地域団体への加入からの紹介

    ⑥ラッキーな来店


    このうち、仕事のできるベテラン社員は④⑤での紹介をベースに、店頭に来たラッキーなお客さんも任せられたりします。



    一方新人は、ベースが無いので手あたり次第①②③を中心に新規開拓に奔走します。



    その中で③休眠口座へのアプローチについてお話しします。


    担当者のいない口座

    そもそも休眠口座とは何かという事を説明します。



    証券会社の営業マンは担当している顧客がいます。



    一人でカバーできる顧客数には限りがあり、私は入社9年目で400口座・100億円程の預かり資産がありました。



    はっきり言って400口座の管理が出来ていたかというと、出来ていませんでした。

    ですが何とか対応していました。



    私も他の営業マンもそうですが、お金持ちでこちらの提案をすんなり受けてくれる少人数の顧客を担当すれば、顧客満足度も上がり営業マンの成績も良くなります。



    そこで実施するのが、担当顧客の整理です。

    預かり資産等の一定のルールはありましたが、自身で担当していた顧客に対して担当者無しの口座へ落とす事が出来たのです。



    落とす理由としては、効率的な営業活動を行うためですが、


    ①顧客の資金力が乏しい

    ②まったく提案を聞いてくれない

    ③高齢者すぎてこちらから提案できない

    ④クレーム客


    ③④に関しては本来落としてはいけない顧客ですが、皆こっそり落としていました。



    顧客には、

    「今まで担当していましたが、これらはお金持ちの良質なお客様に特化して対応したいので、あなたは担当しない事にします」

    こんな事を言ってしまえばクレームになりますので、

    「これからはチームで担当する事になりました」

    こう説明する事で何とか理解をしてもらっていました。



    こうする事により、休眠口座には何らかの理由により担当者のいない放置された口座がかなりの数集まります。


    ここで新規開拓の話しに戻りますが、新規開拓で辛い事は、こちらの話しをまともに聞いてくれない事です。



    特に、突然自宅に見ず知らずの証券マンが来たり、いきなり電話がかかってきて、

    「個人向け国債いかがでしょうか」

    といったところで相手にしてくれるわけがありません。



    ほとんどが一瞬で断られるか、そもそも一番多いのは留守です。

    こうなってくると営業マンのモチベーションは下がる一方です。



    そんな中で上記で説明した担当者のいない口座へのアプローチは、一応口座がある顧客なので、ド新規よりはるかに話しを聞いてくれます。



    一度は何らかの形で見捨てられた口座なので、そこから収益が上がれば一定の評価はされます。

    準新規開拓といった所でしょうか。


    芸能人へのアプローチ

    私が新人の頃の話です。



    休眠口座へアプローチしている中である芸能人の口座を発見しました。



    証券会社では有名人の口座があるのは当たり前の事ですが、休眠口座に放置されている事は珍しい事でした。



    残高を確認すると、株式の預かりだけでしたがITバブル時に700万円で買った某銘柄が30万円になっていました。



    前任者は転勤した筆頭セールスになっており、特記事項には「アプローチ禁止」と書かれていました。



    本来であればその特記事項に従いアプローチはしないのですが、なかなか結果が出ず苦戦していた私は藁にもすがる気持ちでその芸能人の自宅住所をメモし、偶然通りかかった体で突撃訪問をしました。



    インターフォンを押すと、家の中からその芸能人が出てきました。


    私が〇〇証券会社の人間だと名乗ると、TVのままのしゃがれた声で、

    「10年間待ってたぞ、入ってくれ」

    そう言って家の中に入りリビングに通してもらいました。



    私は期待と興奮で胸が高まっていました。

    普通に芸能人に会うだけでも嬉しいのに、もしかするとこれから担当者と顧客としてお付き合いできるかもしれない。

    それも億単位での取引きに繋がるかもしれない。

    そう思っていました。



    私は事前に収集したその大損しているIT銘柄の見通しを緊張しながらもお伝えしました。



    その間、その方は一切口を開きませんでしたし大型犬のゴールデンレトリバーが室内飼いされており私に激しく向かってきていましたが、それに対して何のフォローもしてくれませんでした。



    私のスーツがよだれと毛だらけになった頃、その方はそっとこう言ったのです。



    「おたくの会社を訴えようと思っていて、知り合いの週刊誌の記者にも記事にしてもらおうと思っている」



    新人の私は頭が真っ白になり、どうしてよいか分かりませんでした。



    その方は一切表情を崩さずに、自分はおたくの会社から詐欺に遭い損させられたのだと憤慨していました。



    本来こういった苦情はチャンスでもあるのですが、このケースでは結局顧客の怒りを蒸し返しただけで終わってしまいました。


    顧客本位の営業とは

    つらつらと営業マンの立場からお話しをしましたが、顧客の立場から見るとどうでしょうか。



    そもそも、自分の判断で投資したいから担当者が必要のない顧客もいます。

    しかし、担当者が顧客から勝手な理由で逃げているケースもあるのです。



    その芸能人も経緯は分かりませんが、しっかりとマーケットの暴落を担当者と一緒に向き合う事ができれば、このような事にならなかったかもしれません。



    大手証券会社では、すべての顧客に担当者をつけることは不可能です。



    もちろん会社も放置するわけにはいかないので、定期的なメールでの情報提供等を行いますが、出来ることは限られています。



    本当に信頼できる証券マンと長い付き合いをしたいとき、あなたはどんな選択をしますか。


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