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    法人顧客での大失態 スペイン金融機関の円建て債券

    最終更新: 2019年8月4日

    大手証券会社で十数年の勤務経験【リテール/投資銀行/事業法人/IR部門】から、

    投資家と金融機関の付き合い方について、参考になればと思い記事を書いています。

    休眠顧客覚醒

    様々な経験が増えていく中で、支店の休眠客であったとある法人を担当する事になりました。



    その時の預かり資産は無かったのですが、以前は支店の主力顧客で頻繁に取引きしており、中国株の暴落により数年前から取引きが無くなった顧客です。



    私はその法人へ訪問して何度か提案を行い、タイミングが良かったのか運よく円建ての社債を買って頂くことになりました。



    専務である奥様とウマが合いとても良くして頂きました。

    資金力のある法人です、それからあれよあれよと様々な金融商品を買付け頂きました。



    時にはまだこちらが提案してもいないのに先にお金を振り込んで頂き、

    「定期が満期になったから振り込んだけど、何か良いのあったら教えて」

    という事もありました。



    運用商品も円建ての債券から日本株やインドネシア株の投資信託まで何でも買って頂き、預かりも相当なものになっていました。



    私は完全に調子に乗っていましたが、良い事ばかりは続きませんでした。

    含み損拡大

    その法人では円建ての満期10年程の社債をかなりの金額で買っていました。



    円建てであればリスクは少ないと思っていたのですが、その社債の発行体がスペインの金融機関でした。



    そんな中、ギリシャを中心とした欧州信用不安が起こり、当時格付けの低かったスペインやイタリアの不安が大きくなっていったのです。



    スペインの金融機関も大きく信用を落とし、本来満期まで保有すれば当初の額面で返ってくるものが、今売却すると半分の価値になってしまうという所まで下落したのです。



    それはどういうことを示唆しているかと言うと、満期を前にそのスペインの金融機関が破綻してしまい、投資した金額がまるまる返ってこない可能性も出てきたという事なのです。



    当然私も焦りましたが、半分の価値での売却を提案する事はできずに、何とか欧州信用不安が収縮に向かうシナリオを祈るばかりでした。



    当然専務にもこのことを報告していましたが、ことの重大さをそれほど理解していなかったように思えました。



    それは私がそのうち何とかなるから、今は騒がないで静かに待っていてほしいとういう思いから、専務への説明が不十分だったかも知れません。



    そんな中、同法人の金融知識に明るい部長が初登場してきました。

    当然部長は激高していました。



    自身の会社が、円建てとはいえスペインの資産を大量に保有しており、それが半値になっているのです。



    私は説明をしましたが、最終的には私が専務を口車に乗せて、リスクの高い商品を無理やり販売したのではないかと言われました。



    弁償しろと言われました。


    上司のフォロー

    課長や支店長にも同行してもらいましたが、全く先方の怒りは収まらなかったです。



    私は自身のせいで大きな含み損が出て、顧客に迷惑をかけてしまったという思いと、上司に対しても面倒な事に巻き込んでしまったという思いで一杯一杯になっていました。



    その時の課長から一生忘れないであろう言葉を掛けてもらいました。



    「お前は悪くない、一生懸命頑張っていればこんなこともある」



    先方の部長に呼び出しをくらい4時間説教を受けた帰りの車の中でそう言われました。



    私はその上司からいつもこっぴどく叱られていましたし、今回は特に大きな失敗だと思っていたので、どれだけ怒られるのだろうかと構えていた際に、このような全く予想していなかった言葉をかけてもらったのでとても驚きました。



    と同時に、いざという時に味方になってくれる上司の男らしさに涙が止まりませんでした。



    支店に戻ると夜の11時を回っており誰も残っていなかったので、泣きじゃくった顔を皆に見られなくて本当に良かったです。



    私はそれから毎週その法人に通い、保有資産の現状と見通しを説明しました。



    そこへ向かうのが億劫になりそうな時もありましたが、私を信じてくれた専務と上司を裏切る事は出来ないと思い、強い意志の元部長と向き合っていました。


    クレームから顧客化

    それから1年が過ぎ、欧州不安も収縮に向かい始めた頃の話しです。



    その時会社では、

    「ある一定以上の金額で金融商品を新規顧客で買ってもらう」

    というノルマがありました。



    私はそのノルマが中々進捗しない中、思い切ってその公益法人の部長に提案する事にしました。



    マーケットは少しずつ回復しているとはいえ、その部長は私からすると非常に怖く、とてもそんな事を言える関係ではないと思っていました。



    ですが毎週の定例報告の最後に恐る恐る切り出すと、部長は、


    「お前がそうやって言ってくるのを待ってたぞ、幾ら買えば良いんだ」



    こう言ってくれ、部長の個人口座を開設し、まとまった資金で金融商品を購入頂きました。



    私はこの時、お客様の懐の深さを知り、一人の人間として育ててもらったと今でも感謝しています。

    この件で、私は運用意志決定プロセスの重要性を学びました。



    やはり一人で判断するよりも、様々な人を巻き込んで相談して投資判断を下す事が大事だと学んだ出来事でした。


    家族を見守るような投資や運用のセカンドオピニオン

    投資や運用の判断を行う際は、あなたと金融機関の担当者以外の意見が必要です。

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