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    南アフリカランド建て債券地獄

    最終更新: 2019年8月4日

    大手証券会社で十数年の勤務経験【リテール/投資銀行/事業法人/IR部門】から、

    投資家と金融機関の付き合い方について、参考になればと思い記事を書いています。

    南アフリカランド建て債券祭りの始まり

    私は証券マンの仕事の中で涙を流した事が何度かあります。

    大の大人が恥ずかしいのですが、その事を紹介します。



    私が入社1年目の秋頃です。

    安全な円建て債券から、そろそろリスク商品も積極的に販売していこうという所でした。



    丁度その頃、本社からの通達か支店の戦略か、当時の私には知る由もありませんでしたが、南アフリカランド建ての債券を強烈に販売していた時期がありました。



    1年目とはいえ、上司からのプレッシャーは日に日に増していき、ついには、

    「お前たち今日から南アフリカの事だけ考えろ!」

    「これから休眠口座にアプローチして、顧客の預かり全資産を南アフリカランド建て債券に変えてしまえ!」



    それからと言うもの毎日、いや毎時間上司から、

    「いまなんぼ増えたんや!」

    「この商品を販売できない奴は証券マン失格!」

    こんな事を言われながら、必死に営業していました。


    チャンス到来

    そんな中、私が電話でアプローチした顧客から「それ儲かるの?面白そうだね」と言われました。

    これはチャンスとばかりに、電話を切り顧客の住所をメモして、アポも取らずに顧客自宅へすっ飛びました。



    ピンポンを押すと、中からおじいさんが出てきて、「おお来たのか」と少し嬉しそうでした。

    自宅に入るとお茶を出してもらい、おじいさんと色んな話しをしました。



    南アフリカの話しはそんなにしなかった記憶があります。

    ただただおじいさんは嬉しそうに色んな話しをしてくれた事を覚えています。

    これは南アフリカランド債券を買ってもらえる、まだ若造でありながら、そんな事を感じとることができました。



    しかし、おじいさんはお金がないから買えない。

    そう言いました。

    私は猛烈に焦り、冷や汗が出ました。

    このままじゃ帰れない、そう思いました。



    そこでおじいさんにこう提案しました。


    「保有している通信株を売却して、南アフリカの買付け資金にしましょう」


    その時の私は、なぜ今通信株を売却しなければならないのかと言う事は完全に説明がつきません。



    ただただ、南アフリカランド債を買ってもらわなければならないのです。

    するとおじいさんは、「そこまで言うのならそうしよう」と言ってくれました。

    上司の対応

    私は急いで支店に戻り、上司に報告しました。

    すると上司は、

    「今から俺もそこに連れて行って」



    もうすでに辺りは薄暗くなっていましたが、上司と一緒におじいさんの家に戻りました。

    そこで上司がおじいさんにこう言いました「ごめんなさい、南アフリカの商品もう売り切れました」



    えっ!!

    そんなはずはない、まだまだ予算はあるはず。

    そう思いながら家を出て上司からこう言われました。



    「お前を見損なった、80歳を超えた足の悪いおじいさんの、しかも20年以上保有している通信株を売ってまでやれとは言ってない!、考え直せ!」



    私はその時ハットしました、目先のノルマのため顧客本位の営業ができてなかったのです。


    悔し涙

    私は自分への悔しさなのか何なのか、帰りの電車で涙を隠すことができませんでした。

    そして支店に戻った際上司からこう言われました。

    「ほんで今日なんぼ増えたんや!」



    証券会社の営業の仕事は私の想像を絶する厳しさがありました。

    あなたと向き合っている担当者はニコニコしながらも莫大なノルマの事で押しつぶされそうになっています。

    つきあいのある担当者のためにも何かしてあげたい。

    こういう気持ちは営業マンからすれば本当にありがたいし嬉しいです。



    しかしちょっと待って下さい、その担当者は本当にあなたの事を考えていますか。

    投資判断には冷静な第三者の意見が重要なのです。


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