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    金融機関の営業マンとの付き合い方

    最終更新: 2019年8月5日

    大手証券会社で十数年の勤務経験【リテール/投資銀行/事業法人/IR部門】から、

    投資家と金融機関の付き合い方について、参考になればと思い記事を書いています。

    ジュンゾーさん?

    入社して配属初日の朝。



    応接室には課長以下課員8名ぎゅうぎゅう詰めで、新人の私は椅子を隣の部屋から持ってきて座っていました。



    私がイメージしていた証券会社の朝会では、

    「昨夜のNY市場では...」

    とか

    「M&Aの件だが...」

    とか、さぞかし高尚な議論をしているのだろうなと勝手に思っていた私は拍子抜けしてしまいました。



    そこでは課長が一人顔を真っ赤にしてまくしたて、それを課員が下向きでじっとしている状況なのです。

    そこで課長が連呼していたフレーズがあります。



    「今日は何が何でもジュンゾーや!」

    「ジュンゾー出来なかったら帰ってくるな!」

    「以上!」



    ジュンゾウさんめっちゃ怒られただけで会議終わったやん...

    私は手帳に一言「ジュンゾー」と書きました。


    純増!

    その日2年目の先輩とランチをした際、

    「ジュンゾーさんめっちゃ怒られてましたね」

    と話した所、先輩は、

    「ジュンゾウさんちゃう、純増や。」



    そうです、証券会社では純増はとてもとても大事な事なのです。



    純増とは、投資信託の残高を増やすことです。

    この増やすと言うのが重要で、例えばある顧客のA投資信託売却資金でB投資信託を販売したとしても、それは販売であり純増ではありません。



    ただしこれは他社の投資信託を売却して自社で投資信託を買ってもらうと立派な純増です。

    例えば自社で保有の投資信託を売却して株を買おうものなら、つるしあげにされます。


    証券会社は純増が命

    何故純増が大事なのかを説明します。



    証券会社は営利企業なので、当然顧客からの手数料が必要です。

    手数料の中でも販売時の手数料は重要ですが、相場が冷え込むと新たに投資信託を買おうという人が減るので相場に左右される事になります。



    そこで重要なのが、投資信託の信託報酬です。

    これは投資家から見るとランニングコストになり、商品によって異なりますが年間で大体~2%程のコストが発生しています。



    つまり証券会社は投資信託の残高を増やせば増やすほど、この信託報酬がチャリンチャリンと入ってくるわけです。



    補足すると、この信託報酬は販売会社と運用会社と信託銀行に分配されます。

    極端な話、投資信託の残高さえあれば、証券会社はセカセカ営業をしなくとも利益が生まれます。

    嫌な言い方をすると、顧客の投資信託が損していても証券会社は儲かるのです。


    証券マンの純増大作戦

    朝の課長のお言葉を振り返ってみましょう。



    「今日は何が何でも純増や!」

    「純増出来なかったら帰ってくるな!」



    なるほど、今日は投資信託を純増で販売する日なのですね。

    本当は投資信託を現金で買ったほうが綺麗ですよね、だってまだ上がるかもしれない株を売りますか?



    もちろん本当に売り時なら構いませんが、純増のためにそれをする事は本末転倒ですよね。



    ただし、課長は今日何が何でもやってこいと仰っていました。

    どうしても今日純増しなければならない営業マンは、自社の口座で保有している金融商品の乗換えを提案するのです、それも強烈に。



    ちなみに、顧客の心を鷲づかみにするスーパー営業マンは自社の商品の乗り換えではなく、他社からお金をどんどん引っ張ってきます。

    当然他社にも担当者がいますよね、当然同じように朝会で課長からまくしたてられているでしょう。



    金融機関にとって、自社の商品を売却し出金されることは本当に最悪な事なのです。

    会社をあげて純増に奔走しているなか、

    「すみません、純減でおまけに出金されました」

    これはなかなか痺れます。



    こんな時上司は必ずこう言います。


    「他で取り返して来い!」


    純増を意気込むダメダメ営業マンは、保有の債券を売却して投信を買ってくださいと言います。



    すると顧客は投信を買わずに、債券だけ売却してしまうのです。



    私の拙い営業経験から言うと、基本的に投信を買ってほしければ保有の債券には目もくれず、投信を提案します。

    そこで顧客が「お金がないから買えない」この時初めて債券の売却話しをさりげなく持ち出します。



    重要なのは「さりげなく」です。


    投資信託は良い商品

    決して投資信託を悪く言っているわけではありません。



    投資信託は分散効果があり、世界中のあらゆる資産に気軽にアクセスが可能な優れた商品です。



    問題なのは、その投資信託を買うために、

    今その金融商品を売却する必要がありますか?



    投資信託のコストやリスクをちゃんと理解していますか?



    昨今では顧客本位の営業活動を行うため、当局からの厳しい指導が散見されます。

    どこまで顧客本位が実現できるのか、是非実現したいですね。


    投資家自身で判断するために

    投資家にとって重要なのは、自身で判断し行動する事にあると思います。



    投資判断が、

    「営業マンがしつこ..熱心だから」

    「よくわからないけど良いって言われたから」

    「良くわからないから買わない」



    こんな理由で判断をしてませんか?

    損した場合は営業マンのせいですか?



    自身で納得して判断を下したいですね。


    家族を見守るような投資や運用のセカンドオピニオン

    投資や運用の判断を行う際は、あなたと金融機関の担当者以外の意見が必要です。

    中立的な第三者の立場で、金融商品の商品内容やリスク、手数料等について丁寧に説明します。

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